
役割は次の本に移りました - 著者が岩波新書「事業再生」の端書きで、「環境がめまぐるしく変わった」と述べているとおり、この本が書かれた状況が大きく変わっています。当時は産業再生機構が立ち上がったばかりで、法制度も整備されていないところがありました。 本書の目的は岩波新書「事業再生」に引き継がれていますので、そちらを選ばれることをお勧めします。もちろん、日本の企業再生の礎を築いた方だけあって、入門書としての価値は失われていません。
事業再生を勉強するなら、まずこの本か - 流行の「事業再生(民事再生)」の入門書としてはよくまとまっており、いい本であると評価できる。著者は、「事業再生」を手がける弁護士としては草分けと言えよう。 ちょっとした工夫(債務カット、事業リストラ)で、企業が再生するのであれば、株主も従業員、さらには取引先、ユーザーも助かるわけで、それを可能にするファイナンス方式(DIP、DES(デット・エクィティ・スワップ))や専門家(ターンアラウンド・マネージャー(いろいろな経験ができそうでおもしろそうな職業である))、再生ファンド(ファンドが設立したSPCがDESにより「債務の株式化」された株式を取得し、株主として再建を実施する)の登場は、日本経済マクロで見ても意味のある話といえるだろう。 また、倒産法制の変化についても語られる。和議法の廃止により登場した日本版チャプターイレブンである「民事再生法」(2000年4月〜)が果たした役割や裁判所が私的整理に熱心になった点が語られる。 なお、2006年1月に出た「事業再生」(岩波新書)では、本書出版後の状況(産業再生機構)についても記載がされている。 しかし、考えてみれば、DESとは、貸借対照表の「他人資本」が「自己資本」になるということで、テクニカルには分かるが、貸借対照表上の「負債」と「資本」が簡単に行ったり来たりしていいものかというのが素朴な疑問。これについては、実質的には、債務を帳消しにする代わりに、それに見合った出資を同時に行ったという理解になるのだろうか。あと、「債務の株式化」だが、債務に見合った発行株式数はどうやって決めるのか(特に非上場の場合)、誰か教えて欲しいものである。
法律の知識 - 再建のビジネス書ではない。破綻関連の法律本。実際の事業再生に関する内容は乏しい。財務、経営、取引、労使関係の課題と解決といった事業にまつわる事例を直接知りたい方には向かない。
基礎知識を得るには適している - 企業再生に関する知識を新書版のコンパクトな分量につめこんでおり、私のようなズブの素人にとっては、基礎的な知識を得るのに役立った。 ただ、他のレビュアーさんが産業再生機構の経歴など著者の実務経験を強調しておられ、その面の「具体的な」「なまなましい」話を期待していたが、その面は以外に少なく、オーソドックスな入門書という印象。 まじめに「知識を得たい」入門者には好著。「ちょっとした興味で、興味深い話のネタを仕入れたい」という人には向かない。
実務経験に裏打ちされた概説書 - 景気は回復していると言われるが、なかなか光が見えない日本経済。いまだに企業再生の話題は絶えません。そんな企業再生の為の会計的、法律的な知識をとても易しく解説しています。著者は昨春、産業再生機構の産業再生委員長に就任したいわゆる「倒産弁護士」の草分け的存在で、本書を注意深く読むと、説明の端々に実務経験に裏打ちされた記述が随所に見受けられます。倒産法制についても要点が簡潔にまとまっており、近時の改正もフォローしてますので、企業再生ビジネスに関心ある方の入門書として最適だと思います。