商法-法律-本 : 闇の系譜 - ヤクザ資本主義の主役たち (講談社+α文庫)

闇の系譜 - ヤクザ資本主義の主役たち (講談社+α文庫)

¥ 780


現代ヤクザ否定論。 - いつもながら有森隆とグループKの調査力には感服させられる。ただ資本主義とは所詮こんなものではなかろうか。金銭欲を煽り立てることで、一攫千金の夢を求める人間の知力と胆力を最大限引き出す制度なのだ。ここに登場する人物はどこか劣等感を持ち、堅気の世界に溶け込めなかった人が多い。その分、奇妙な自己顕示欲を持ち、それが周囲の人間から嫌われ、敵を無意味に増やし、検察の粗雑で目の荒い網に引っかかったのだ。もっと利口な(狡猾な)人物は同じ事をスマートにこなし、ぬけぬけとアブク銭に浸っていることだろう。インサイダー取引等の経済犯罪への対策は日本では不可解なまでに甘い。少人数の捜査陣による一懲百戒的な手法には限界がある。規制緩和に犯罪捜査部門が追いついていない。また捜査対象も検察が恣意的に決定しているようだ。最も気の滅入る問題は、この手の起業家にヤクザが寄生することだ。そもそもヤクザなど要らない。撲滅するべきだ。米国の手法や法を参考にして徹底的な根治策を編み出し、経済警察(検察)等の新しい大規模の捜査機関を早急に組織するべきだ。諸外国との共同機関も必要だろう。既存の組織は大して機能していない。発展途上国なみのいい加減さである。米国の年次改革要望書に忠実に沿う形で改革が行われてきたとある。これは事実だが、それを政官財が「外圧」として利用したとあるのは、「政官財の一部」が他を掣肘するために利用したという意味だろうか。

政官財暴の癒着 - 本書には一般のメディアが触れたがらない、日本の社会の真実が良く描かれている。すなわち、1)日本を本当に牛耳っているのは表ではなく裏の社会であるということ。2)規制緩和とは裏社会、闇社会に対する利益供与に他ならないということ。3)政官財の癒着はしばしば指摘されるところであるが、実は政官財暴の癒着なのであり、一番の要の部分は暴に他ならないということ。特に2)については小泉純一郎氏の出自、祖父の代から続く裏社会との密接な関係を考えれば、規制緩和を中心とした小泉改革の真の意味が容易に理解できる。そして小泉氏をサポートした、竹中平蔵氏も相当に怪しい人物であることは一目瞭然である。世の中の真実を理解するためには役に立つ本だと思う。

資本の論理 - 資本の論理のまさにドロドロの部分を淡々と記している。さすがに少なくなったが、未だにこの本に登場してきたメジャーな名前の方々を礼賛する声も若い世代にはある。株式市場のルールを破ったのかそれとも間隙を突いただけなのか、素人の私には良くわからない。しかしながら、言えることは、結局株式市場でのこの手の荒稼ぎは、昔からそうであったように弱者からの搾取によって成り立っているのだということである。この本を読み終わった後、株式市場を見渡してみると、ヤクザ株主の餌食となりそうな会社がいまだに存在していることに気づくだろう。

事件の復習にどうぞ。 - 事件当時は、当事者の逮捕や事件の経過についての過熱報道が続き、まとまりを欠いた状況でした。本書を読むことで、事件の内容、何が事件性を有していたのか、事件当事者の略歴などを整理された状態で知ることができます。事件を、一過性の熱病のよう捉えるのではなく、反省批評の対象として捉えたい方には簡単で読みやすいです。ゴシップ好きで、週刊誌のようなセンセーショナルな内容を欲する方には物足りない内容です。




闇の系譜 - ヤクザ資本主義の主役たち (講談社+α文庫)